■はじめに


◇この文章は何?


次回の2014年1月24~26日のGGJ参加者をひとりも多く募る為に書いた。

GGJが「実際には」どんな感じなのか知りたい方向けの
世界一「具体的な」心理レポートである。
大雑把な概要と要約については大前さんのこちらのスライドを参照していただきい。
楽しくて病みつきになるゲームジャムのススメ

主にリーダーとして参加したボクの「心理状態」を
時系列に添って詳細にレポートする。
実際のチーム分け、アイデア出し、企画の立案、話し合い内容、葛藤、など
赤裸々で非常に書き難い内容もなるべく詳細に記していこうと思う。

「GGJに興味はあるけど、どんなイベントなのかな? 自分でも参加できるかな?」
と不安に思っている方は、是非読んで頂きたい。
躊躇いや不安が少しでも解消され、この素晴らしいイベントに参加する気になってくれれば、
筆者としても幸いである。
.

◇GGJとは


ひとことで言うと
「知らないひと達と一緒にチームを組んで、48時間でゲームを作るイベント」
である。
GGJ2012 では世界47カ国、242会場、2209ものゲームが作られたそうだ。
(2013年は更に多かったと思われる)

ゲームを作ったことのない素人、
学生アマゲーム制作者、
現役プロゲーム制作者
などなど、幅広い様々な経歴のひと達が参加する。

その開場のローカルルールや方針に依るが、
基本的には、同じ組織に所属している人間は、極力別チームになるよう振り分けられる。
おそらく、初顔合わせのひと達とチームを組むことになるだろう。

勿論、個々人に高いスキルがあるに越したことはない。
だが、それ以上に
「見知らぬ人間同士でも即座にコミュニケーションを取り協調すること」
「チームメンバーの能力を正確に見積もり、現実的な作業プランを立案し、時間内に実行すること」
など非常に実践的な能力が求められる。

◇参加のススメ


これを読んで、
「うわぁ~自分には無理そう…」
と思った、そこのアナタ!

無理だと思ったのなら、尚更参加しよう!
たとえ、アナタがゲーム制作者を目指していなかったとしてもだ。
これらの能力は、どんな職種であっても必ず求められる能力なのだ。
アナタにとって苦手なことであるのならば、それら何れ必ず克服しなければならない。
是非とも参加して大いに失敗し、自らの欠点を洗い出して欲しい。

ここは、いくら失敗してもいい場所なのだ。
損害が出て会社が潰れたり、死亡したりしない。
ノーリスク・ハイリターンの素晴らしい場である。
安心して玉砕して欲しい。

「俺なら楽勝だな!」
と思った、そこのアナタ!
是非とも参加して、それが思い上がりでないことを証明してほしい。

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◇参加のメリット


まず、前線のプロ、セミプロの凄い技術を間近で見ることが出来る。(かもしれない)
見るだけではなく、一緒に協力して作業できるのだ。
また、ゲーム会社なら、数ヶ月~数年は要する企画立案~完成リリースの工程。
それをたったの48時間の濃密さで体験できるのだ。

こんな貴重な経験をできる場所が他にあるだろうか?
いや、ない。

あなたが参加しない理由がまだあるだろうか?
特にゲーム系志願の学生なら、参加しない理由は見当たらないだろう。

■時系列で振り返る


ここから先は、
時系列に添って、今年のGGJ2013でボクが体感してきたことを記す。
なるべく、客観視して書いたつもりだ。
書くべきかどうか迷った赤裸々な心情も吐露してある。
「こんなことを書いたら、カドが立つんじゃないか?」
と思うことも正直に書いた。
だが、あくまでもボク視点と主観であることをお断りしておく。
他のメンバは、全然違う想いを抱いて参加していたかもしれない。

是非アナタも参加したつもりになって読んで欲しい。
そして
「自分ならこう判断するだろう…そこは、ああすべきだろう」
などと自分に置き換えて、感情移入して読み進めて欲しい。

◇1月25日(金) 12:00~17:00 会場について


その日は公式には、17時から会場が開場だった。
ただし、会場設営を手伝うことも可能で、実際には12時から入ることが出来た。
当日、仕事を休んだボクは、12時入りすることは十分可能であった。
当初は12時入りしようと思っていたのだ。

だが、前日に参加者とskypeでバカ話を深夜までやってたお陰で昼近くまで寝ていたのと
ある企みの為に行くのを大幅に遅らせた。
ネタとして21インチの大型液晶ディスプレイを持ち込もうと思案し、分解したり運搬可能な手頃な鞄を探していたのだ。
「大型ディスプレイをわざわざ持ち込んだ馬鹿が居るwww」
というネタ作りのためにあの手この手を模索した。
だが、台座部が予想外に嵩張り結局、断念したのだ。
(本当に実行しなくてよかった…と、このあと思い知ることになる)

◇同 17:00


確かほぼ時間通りに会場に到着したと思う。
地図で見た場所近くにはすぐに到着したが、そこから迷った。
BizLibraryという名前と大雑把なグーグルマップ上の位置。
それさえ知っていれば、すぐに判るだろうと高を括っていた。
だが、下調べが甘かった。
図書館兼コワーキングスペースだとは聞いていた。
だがそれは、とあるマンションの一室だったのだ。

最初に入ったときの正直な感想は、
「うわぁ~ここでやるのか…」
だった。

※予め断っておくと、ここの会場自体は非常に素晴らしい。
受けられるサービスの質と値段を考えれば、破格のコストパフォマンスである。
ここより良い条件の会場は全国探しても、早々みつけられないだろうと断言できる。
※あと、月額たったの4千円台で電源wifi使い放題、梅田近くの好立地なコワーキングスペースなので
大阪のノマドワーカーには大変オススメである。
※専門学校などをお借りすることが出来れば最高なのだが、休日や深夜に及ぶため、
セキュリティ関係や大人の事情で色々と難しいのである。


…のだが、
たったひとつだけ欠点がある。
参加人数(20/30人)に対して狭いのだ。
「普通のひとん家にクラスメートほぼ全員がお邪魔している感じ」
と言えば、分かって頂けるだろうか。

2LDK(2DK?)の3部屋には、既に8人ほどの参加者が到着しており、
中央のDKには、向かい合わせにされた長机と椅子があり、所狭しと座っていた。

テーブルの上には、ホワイトボードに映すプロジェクタや各人のノートPCとその周辺機器、
飲みかけのコップや食器などが雑然と置かれていたように記憶する。
昼過ぎから手伝いに来ていたり、そもそも前年度からの知り合い同士だったりで、
彼らはスッカリ場に馴染み、会話が弾み、温まりきっていた。

対照的にボクは、多少言葉を交わしたことがある人間が1,2人程度で、ほぼ初対面ばかり。
友だちの友だちの家に急遽上がり込んだような、借りてきた兎のような、
物理的にも精神的にも窮屈な居心地を感じてた。
(※今では皆と仲が深まり、第2の我が家のように感じています)
この日「ディスプレイを持ち込もう」などと馬鹿な企みを抱いてことを大きく後悔する。

そんなモノ、この会場に置くスペースないじゃないか!

そんなネタを仕込むより、さっさと来て、場に馴染んでおくべきだった。
全員と予め会話を交わしておくべきだった。
このことは、後になって更に後悔することとなる…。

◇同18:00~ テーマについて


正確な時間は失念したが、大阪会場にて今年のテーマが発表された。
「ドクン…ドクン…ドクン…」
という音声だった。

ちなみに、
2011年は「Extinction」(消火、終息、絶滅などの意)という単語
2012年は「ウロボロス」のイラスト
2013年は「ドクン…ドクン…」という音声
(…と来たら、2014年は何かの動画だろうか?)
全世界同じテーマで実施される。

※地球の裏側会場の時差に配慮して、翌日の正午まではテーマは口外禁止である
※不用意にSNSで呟かないようにしよう!

DKの隣にあるテーブルと椅子の無い絨毯が敷かれた部屋に皆で入る。
付箋紙が皆に配られ、ブレインストーミングが始まった。
各々、アイデアを思い付くままにガンガン壁に貼り付けていく。
壁3面はどんどん埋まっていった。

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似たようなアイデアをなるべく同じ箇所に集める。
「さぁ、ここから、皆さんアイデアを詰めて行きましょう!」
というわけだ。

◇19:00~(だったと思う) チーム作成


仕事を終えてやってきた社会人や大阪会場主催者さん(大学講師)の生徒さん、講師関係者なども続々とやってきた。
来られる度に「ここなのか…ッ?」
という不安そうな顔をしていたように視えた。
皆、ボク同様、勝手が分からず、何処に腰掛けたもんか…?と所在無さげだったように思う。

◇20:00~(だったと思う)


概ね参加者が集まり、会場の窮屈感、アウェイ感は極まっていた。
募集人数30人に対して総参加者数は20人。
「絨毯の間(勝手に命名)」に全員が集まると足の踏み場もない。
実はこの会場、図書館である都合上、各部屋のほぼ全周壁際の床に本が置かれていたのだが、
(現在は本棚が寄付されて改善)そのことが、実際より更に狭くしていた。
「壁際に座れない、寄りかかられないのだ!」
各人の荷物はその本の内側に、人間は更に内側に座ることになり、
「俺のノートPCが入った荷物誰かに踏まれないかな? 誰かの踏んでしまわないかな?」
などという思いが、不安で心細い気持ちに拍車を掛けた。
手元に荷物を持っておけばよかった。

知らないひとに囲まれ、座る方向にも苦慮し、足の踏み場に難儀しながらチーム分けが始まった。
「20人でこれなら、フルの30人来ていたら、どうなっていたんだ?」と思ったものだ。
明らかにキャパオーバーのようにこのときは視えた。(実際には割りと適正だった)

途中で夕食が始まった(どのタイミングかは忘れた)が、
中央のDKで「後ろ通ります」と声を掛け合いながら、全員がテーブルには付けないので
配給に並ぶようにして紙皿を受け取り、食事を済ませた。

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◇20:30~(だったと思う) チーム分け


いよいよチーム分け。
ホワイトボードに各人のスペック(プログラム、デザイン、サウンドの可否など簡易なもの)
が貼り出される。
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…どうみてもプログラマが多すぎる。
深刻なデザイナ不足。
「応援」という謎役職のひとが過半数ほど居た。

まず、
「20人だから2~4チームが最適かなぁ…何チーム作りましょう?」
という話になった。
取り敢えず、前回同じチームだったMさんとKさんは別チームにして闘うことが決まっていた。
事前アンケートで
「リーダー:やりたい、してもよい、誰も居ないなら、NG」
の「してもよい」に○を付けていたのは、ボクとWさん(Kさん,Mさんと前回同チームのプログラマ)
でもう1,2チームを作る際の候補になっていた。
(※ボクが別のUnityハッカソンでリーダー経験があったことも考慮されている)
Wさんは超ベテランで、リーダー候補であったが、このときはまだ会場入りされていなかった。

結局、Mさん、Kさん、ボクの3チームを作ることになった。
先ず、パワーバランスを考慮して、初参加のボクのチームには、
最も強力なプログラマであるWさんが充てがわれることが決まる。

その後、それぞれどのチームに誰を入れるかで悩んだ。
というのは、これといって判断材料がないのだ。
せいぜい、デザイナのHさんが若干取り合いになるくらいだ。
「誰が欲しい?」
「どのチームに入りたい?」
などと、質問を振られようにも、皆には判断材料がない。
知らない人間を名指しで…(というか名前を覚えきれていないから指差しで)
というのは些か無茶な話だ。
(一応一通り自己紹介はしたが、お互い覚えきれていない)
顔と雰囲気で選ぶしかない。
しばらく、誰も動き出せなくて膠着状態が続く…。
ぶっちゃけ個人的には明るくて元気なデザイナーのHさんが凄く欲しかったのだが、
女性メンバーを名指して所望するのは、下心丸出し野郎に視えないか心配で躊躇われた。

場を和ませる為に、
「JDを5人ともボクのチームにください!」
ってよっぽど言おうかと思ったが、やめてよかった。
それが許容されるイケメンやひょうきんキャラなら兎も角、
ボクが言ったら、
「オゥフwww女の子を5人ともwwwヌカァルポぉwwくださいコポォ」
となって場が凍り、社会的に死んでいただろう。

◇各リーダーの特典


どういう話の流れでそうなったかちょっと忘れたが、
Mさん「うちのチームに来れば○○が学べるよー!」
※(「プロの開発手法」だとかそんな内容だった気がするけど忘れた)
Kさん「うちのチームに来れば○○が身に付くよー!」
的な話の流れになった。
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「こなべさんのチームに来ればどんなメリットがあります?」
みたいな話をボクに振られて、咄嗟に
「ボクのチームは…来てもとくに何も無いなぁ…ハハハ」
みたいな糞のような回答をした。

←タイムマシンで戻って自分をぶん殴りたい!!
思えば最大の失敗はこの時。
リーダーがビジョンを示せなくて何の為のリーダーか。
ただでさえ皆不安なのに何故もっと参加者を安心させる気の利いたことが言えなかったのか。

その後適当な方法でチーム分けがなされたが、
「うわっ…ハズレリーダー引いちゃった」
的なメンバの曇った表情がボクの心を抉る。当然の報いだ。
このときの失敗と焦りが後々大きく響くことになる…

◇出ない企画


このままではいかん!
充てがわれたメンバと兎に角何でもいいから会話しなきゃ…
「えっと、好きなゲームとかあります?」
「…ポケモンかな」※
「マリオカート…」※
※実際のゲーム名は何だったか忘れました

会話が止まる
膨らまない

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※奥が我がこなべチーム、手前は他所のチーム
※最初はこの部屋だったが、Kさんチームに「ホワイトボードを使わせてほしい」と言われ、そのままなし崩し的にボク達のチームは絨毯の間に固定



対照的にお隣のMさんチームとKさんチームの部屋からは数秒ごとに爆笑の声が響いてくる
すっかり温まりきった他所のチームと比べ、お通夜のようなウチのチーム
度々こちらの会話が聞こえなくなるほどの煩さで、何度か

「もうちょっと静かにして貰えませんか?」

と言いたくなったが、余計に惨めさが増しそうでやめる。
他所が煩いんじゃない。ウチが静か過ぎるのだ。
こういうのはワイワイ皆で盛り上がってガンガンアイデアを出しあう状態が正しいのだ。
そいういう空気を醸成出来なかったことがリーダーとして最大の失敗である。

他の2リーダーは2回目の参加、見知ったひとが多かったってのもあるのだろうが、
これが人間力の差か…と人間の資質の差を感じて心が挫けそうになる…

何故こんな場所に来てしまったのか!?

逃げ出したくなる気持ちを必死さに抑えて奮い立った。
リーダーが折れたら本格に終わる。
何とかせねば。

チームメンバ全員にテーマに沿った企画をひとつずつ考えて貰うが、
テンションの低さと遠慮のし合いもあって、これといった案が積極的には出ず、
それぞれ渋々書いた案を譲り合いの結果、ボク自身の案を採用することになる。
今にして思えば、Iさんの案である「動物が何かコース上で競争する」(女性らしい可愛らしいスケッチ)
を採用していればよかったと思う。
「どの辺がテーマの心臓の音なの?」
などと否定せず、無理矢理にでもこじつけてボク以外のひとの案を採用すべきだった。
リーダー兼企画になってしまったことを後々後悔することになる…

気が向いたら続くかも…